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2021.1.15
運転前に注意したい、飲んだら眠くなる薬
2020年12月、水虫治療薬に誤って睡眠導入剤が混入される事件が起きました。
この事件で健康被害を訴えた人が156人になったほか、薬を服用したことが原因とみられる交通事故が12月末の時点で22件発生。交通事故では、運転中に薬の副作用で意識障害を起こしていたことがわかりました。
交通事故の原因は、薬に混入された睡眠導入剤が、通常使用される量の2~3倍だったこと、車の運転を禁止している薬ではなく、運転前にリスクを認識できなかったことが挙げられますが、眠気を誘う成分の含まれた薬を運転前、または運転中に服用する怖さ(事故リスク)を考えさせられる事件でした。
上記事件のような特殊な状況でない限り、薬の服用による交通事故は、事前に薬の副作用について調べるなど運転者の注意によって防ぐことが可能です。正しい知識を身に着けて、安全に薬を利用しなければなりません。
では、運転禁止医薬品指定されている可能性のある薬には、どのようなものがあるでしょうか。気を付けたい薬について確認していきたいと思います。
主な運転禁止医薬品の例
「かぜ薬」
眠気を誘う薬で最もよく知られているのは、抗ヒスタミン薬が含まれている「かぜ薬」ではないでしょうか。抗ヒスタミン作用により脳の活動が抑えられ、眠気があらわれる場合があるためです。眠くなる成分が含まれていないかぜ薬もあるので、わからない時は薬剤師さんに相談しましょう。
「アレルギー・鼻炎薬」
風邪薬同様、くしゃみや鼻水を引き起こす物質であるヒスタミンの作用を抑えるため、抗ヒスタミン薬が含まれているものが多く、眠気が現れる場合があります。この薬も運転禁止・運転注意・運転可能な薬がありますので、運転の予定がある場合は運転可能な薬を選びましょう。例年1月下旬から2月はじめにかけて花粉症のピークがやってきます。これからの時期に注意したい薬です。
「解熱鎮痛薬」
痛みをおさえる効果を高める、アリルイソプロピルアセチル尿素などが含まれている場合、眠気があらわれる場合があります。
このほかにもよく利用される薬として、乗り物酔い止め・下痢止めにも眠気を誘う成分が含まれていることがあります。また、運転禁止医薬品の副作用には眠気の他にも、意識障害・めまい・貧血などがあます。
副作用を事前に知るために
副作用を事前に知るために、市販のくすり(一般用医薬品・要指導医薬品)を購入したら箱の注意書きを確認しましょう。使用上の注意に「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」と書かれている、または薬剤師さんに薬を処方されたときに同様の注意があった場合は服用後の運転は控えてください。
運転中に副作用が起こると、重大な事故につながります。飲酒運転と同様、運転が禁止されている薬を服用したら、車の運転はできません。
飲酒運転と同様の重い罪
医薬品服用違反は、道路交通法第六十六条に規定されています。
(過労運転等の禁止)—————-
第六十六条 何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
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これに違反し、運転禁止医薬品を服用した後車両を運転した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
もし薬物の影響で死傷事故を起こしたら
もし薬物の影響で死傷事故をおこしたら「危険運転致死傷罪」という刑罰が科せられます。これは、あおり運転や覚せい剤中毒、飲酒運転、暴走行為などが対象になる、非常に重い罪です。刑罰は、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させた場合、負傷事故で15年以下の懲役、死亡事故で1年以上20年以下の懲役、正常な運転に支障が生じる状態の場合、負傷事故で12年以下の懲役、死亡事故で15年以下の懲役となっています。
事故を起こした時、その事故が薬の影響なのかを調べる事故捜査も強化されています。飲酒運転と違って薬を飲んだかはわからないだろう、といった考えで事故を起こした場合、一生の後悔となってしまうでしょう。
令和2年の「危険運転致死傷罪」等が適用された件数の内訳では、薬の影響で起きた件数が14件一定の病気の影響で起きた件数が32件で、合わせると全体の約15%となりました。
車の安全運転機器の発達
冒頭で紹介した水虫治療薬に誤って睡眠導入剤が混入された事件では、運転中、薬の副作用でドライバーの意識が無くなり交通事故を起こしてしまいました。このような急な体調変化は、薬の影響の他、病気などで予期せず起きることも考えられます。
不慮の事故を防ぐために、運転者が車に乗る前に体調を管理することが最も大切ですが、安全機能のついた車に乗ることも事故防止につながるでしょう。
最もポピュラーな安全機能は、2021年11月から国産新型乗用車に搭載が義務付けられた衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)ではないでしょうか。カメラが車間距離を監視し、追突の危険がある場合ブレーキをかけ衝突を軽減してくれる装置です。車線逸脱抑制制御機能も、車線を踏み越えそうになった時にアラートが鳴り運転者にお知らせするのと共にハンドル操作をサポートして事故を防いでくれる安全機能で、運転操作が困難になったドライバーを補助してくれるでしょう。
更に近年は、自動運転技術の強化に伴い、居眠り運転やわき見運転を監視するドライバーモニタリングシステム搭載車が発売されています。この技術が発展すれば、ドライバーの体調変化を車が察知し、事故を防いでくれるようになるかもしれません。
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